溶接の資格一覧|特別教育・技能講習・JIS資格の違いと取る順番

溶接の資格を調べはじめると、「特別教育」「技能講習」「JIS」「基本級」といった言葉が次々と出てきて、全体像がつかみにくいと思います。実は溶接の資格は性格の違う2つの系統に分かれていて、そこさえ理解すれば整理は難しくありません。この記事では、溶接に関わる資格を一覧で整理し、どれから取ればいいのかを順にお伝えします。
溶接の資格は2つの系統に分かれる
まず押さえておきたいのが、次の違いです。
- 【1】作業に就くために必要な資格:労働安全衛生法にもとづくもの。これがないと業務として溶接できません
- 【2】腕前を証明する資格:日本溶接協会が実施する評価試験。法律上の義務ではありませんが、品質が求められる分野で必要になります
求人票で「溶接資格をお持ちの方」と書かれている場合、多くは【1】を指しています。【2】は造船・橋梁・圧力容器といった、溶接部の品質が製品の安全に直結する業界で求められるものです。
POINT
工場勤務を目指す方が最初に取るべきなのは、迷わず【1】のアーク溶接等特別教育です。【2】のJIS資格は、現場で経験を積んでから会社の指示で受けるのが一般的で、入り口の段階では必要ありません。
【1】作業に就くために必要な資格
アーク溶接等特別教育
電気を使って金属を接合するアーク溶接を業務で行うために必要な講習です。溶接の資格のなかでもっとも受講者が多い、基本の一枚です。
- 時間:学科11時間+実技10時間以上
- 日数:3日間程度
- 費用:15,000〜25,000円程度
- 受講条件:満18歳以上。実務経験・学歴は不問
- 有効期限:なし
ガス溶接技能講習
アセチレンなどの可燃性ガスと酸素を使って、金属を溶かしたり切断したりする作業に必要な資格です。工場では鋼材の切断作業などで使われます。
- 時間:学科8時間+実技5時間
- 日数:2日間程度
- 費用:13,000〜20,000円程度
- 受講条件:満18歳以上
- 特徴:特別教育ではなく技能講習なので、修了試験があります
アーク溶接とガス溶接は用途が違うため、片方を持っていればもう片方が不要になるわけではありません。扱う作業に応じて、両方取得する方も多くいます。
金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習
溶接作業そのものではなく、現場を管理する立場になるための資格です。溶接ヒュームが特定化学物質に追加されたことで作業主任者の選任が必要になり、令和6年(2024年)1月から1日間で修了できるこの講習が新設されました。
- 日数:1日間
- 位置づけ:作業主任者として選任されるための資格
- 注意:これは特別教育の代わりにはなりません。溶接作業をするには別途、特別教育が必要です
【2】腕前を証明する資格:JIS溶接技能者評価試験
日本溶接協会が実施する、溶接の技量を評価する試験です。「JIS溶接資格」「溶接技能者資格」と呼ばれるのはこれにあたります。
基本級と専門級
- 基本級:下向きの姿勢での溶接。1か月以上の溶接経験がある15歳以上の方が受験できます
- 専門級:立向き・横向き・上向きなど難しい姿勢での溶接。3か月以上の実務経験と、対応する基本級の資格が必要です
いきなり専門級は受けられず、基本級から順に進む仕組みになっています。姿勢が変わると難易度が跳ね上がるため、上向き溶接ができる人は現場で高く評価されますよ。
主な種目
- 手溶接:被覆アーク溶接棒を使う、もっとも基本的な区分
- 半自動溶接:ワイヤーが自動送給される方式。製造業で広く使われています
- TIG溶接:仕上がりが美しく、薄板やステンレスに向く方式
- ステンレス鋼溶接・アルミニウム溶接:材質ごとの区分もあります
有効期間と維持のしかた
この資格は取って終わりではありません。適格性証明書の有効期間は1年で、維持するには手続きが必要です。
- サーベイランス:有効期間が満了する前の3か月以内に申請し、技量が維持されていることを確認してもらいます。これで1年延長されます
- 再評価試験:サーベイランスを2回受けて3年が経過したら、更新のために再評価試験を受けます。有効期間の満了前8か月〜2か月の間が申請時期です
手続きを忘れると資格が失効してしまうため、期限の管理が必要な資格だという点は覚えておいてください。会社が一括で管理してくれることも多いのですが、個人で取得した場合は自分で把握しておく必要があります。
溶接の資格なしで働けるのか
「資格がないと応募できないのでは」と心配される方は多いのですが、未経験・無資格から始められる溶接の求人はあります。
というのも、アーク溶接等特別教育は入社後に会社の費用で受講させてもらえるケースが多いためです。求人票に「資格取得支援あり」「入社後に資格取得可能」と書かれていれば、まさにこのパターンです。
一方で、いきなり溶接工程を任されることは少なく、まずは部品の準備や仮組み、検査といった周辺作業から始まるのが一般的です。そこで現場の流れを覚えながら資格を取り、少しずつ溶接そのものに移っていく形になります。
どの順番で取るのがよいか
目指す方向によって変わりますが、標準的な流れは次のとおりです。
- 1. アーク溶接等特別教育:これがないと始まりません。3日間で取得できます
- 2. ガス溶接技能講習:切断作業も任されたい場合に追加します
- 3. JIS溶接技能者評価試験(基本級):実務を数か月経験してから。会社が受験を勧めてくれることもあります
- 4. JIS専門級・作業主任者:技量を深めるか、管理側に進むかで分かれます
最初の一歩が3日間で済むというのは、資格のなかではかなり取り組みやすい部類です。まずはここを越えることを考えれば十分ですよ。
費用と日数の目安まとめ
- アーク溶接等特別教育:3日間/15,000〜25,000円程度/試験なし
- ガス溶接技能講習:2日間/13,000〜20,000円程度/修了試験あり
- 金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習:1日間/実施機関により変動
- JIS溶接技能者評価試験:試験日のみ/受験料は種目により変動/期限の管理が必要
工場でどう活きるか
- 任される工程が増える:組立や検査だけでなく、加工そのものを担当できます
- 時給・手当に反映されやすい:有資格者限定の工程は待遇面で優遇される傾向があります
- 技術が積み上がる:溶接は経験年数がそのまま評価につながる、代わりの利きにくい技能です
- 働ける地域が広い:愛知県は自動車部品や機械製造の工場が多く、溶接の需要が安定しています
まとめ
- 溶接の資格は作業に就くための資格と腕前を証明する資格の2系統に分かれます
- まず取るべきはアーク溶接等特別教育。3日間・満18歳以上・有効期限なし
- 切断作業も行うならガス溶接技能講習を追加します
- JIS溶接技能者評価試験は実務経験を積んでから。有効期間1年でサーベイランスによる維持が必要です
- 資格なしから始められる求人もあるので、取得支援のある職場を探すのが近道です
溶接は資格の種類こそ多いものの、入り口は3日間の講習ひとつです。手に職をつけたい方には、長く使える選択肢になると思いますよ。
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