派遣先でのハラスメント|相談先と対応の手順

働いていて「これはハラスメントではないか」と感じたとき、派遣という立場だとどこに相談すればよいのか迷います。指示を出すのは派遣先、雇用主は派遣会社。この構造が分かりにくさを生んでいます。この記事では、ハラスメントの考え方と、相談先の順番、記録の残し方を整理してお伝えします。

ハラスメントとは何か

パワーハラスメント

職場のパワーハラスメントは、次の3つの要素をすべて満たすものとされています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

類型としては、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害が挙げられています。

セクシュアルハラスメント

性的な言動に対する対応によって不利益を受けたり、性的な言動によって就業環境が害されたりすることを指します。同性間でも成立します。

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント

妊娠や出産、育児休業などの制度利用に関して、不利益な言動を受けることです。

POINT

業務上必要な指導とハラスメントは違います。ミスを指摘されること自体はハラスメントではありません。判断の分かれ目は「業務上必要かつ相当な範囲を超えているか」という点です。人格を否定する言葉、大勢の前での長時間の叱責、明らかにこなせない量の押しつけなどは、指導の範囲を超えていると考えられます。

派遣で働く場合の構造

ここを押さえておくと、相談先が分かりやすくなります。

  • 雇用主:派遣会社(派遣元)
  • 業務の指示を出す:派遣先
  • ハラスメント防止の措置義務:派遣元と派遣先の両方に課されています

派遣先は、自社の労働者に対するのと同様に、派遣労働者についても相談に応じる体制を整えることが求められています。つまりどちらにも相談できるということです。

相談の順番

1. 派遣会社の担当者

まずここが基本です。雇用主であり、就業先との調整役でもあります。

  • 状況を具体的に伝える
  • どうしてほしいかも一緒に伝える(注意してほしい、担当を変えてほしい、就業先を変えたい、など)
  • 担当者に言いにくい場合は、派遣会社の相談窓口へ

2. 派遣会社の相談窓口

多くの派遣会社が、ハラスメントの相談窓口を設けています。担当者との関係が理由で話しにくいときは、こちらを使ってください。

3. 派遣先の相談窓口

派遣先にも窓口が設けられています。就業先で起きたことなので、こちらに直接相談する選択もあります。

4. 外部の窓口

  • 総合労働相談コーナー:各都道府県労働局や労働基準監督署内に設置されています
  • 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)
  • いずれも無料で相談でき、秘密は守られます

ここは要チェック

相談したことを理由に、解雇やその他の不利益な取扱いをすることは法律で禁じられています。「言ったら契約を切られるのでは」という不安から黙ってしまう方がいますが、それこそが状況を長引かせます。もし相談後に不利益な扱いを受けたと感じたら、その事実も含めて外部の窓口に相談してください。

記録を残す

相談するとき、事実が具体的であるほど話が進みます。次の内容を書き留めておいてください。

  • 日時:何月何日の何時ごろか
  • 場所:どこで起きたか
  • 相手:誰の言動か
  • 内容:言われた言葉をできるだけそのまま
  • 状況:周囲に誰がいたか
  • 自分の状態:体調や気持ちの変化、通院の有無

記録のしかた

  • 手帳やスマートフォンのメモで構いません
  • その日のうちに書いておくと、内容が正確です
  • メールやメッセージが残っていれば保存しておく
  • 医療機関を受診した場合は、その記録も残ります

録音については、職場のルールや状況によって扱いが異なります。判断に迷う場合は、相談窓口で確認してみてください。

相談するときに伝えること

  1. 何が起きたか(事実)
  2. いつから続いているか
  3. 自分にどんな影響が出ているか
  4. どうしてほしいか(希望)

「どうしてほしいか」を伝えるのが大切です。相手に注意してほしいのか、席を離してほしいのか、就業先を変えたいのか。希望がはっきりしていると、対応が具体的になります。

よくある迷い

「自分が我慢すれば済む」

我慢を続けると、体調に影響が出てきます。眠れない、食欲がない、朝に動けない。こうした症状が出ているなら、すでに我慢の範囲を超えています。

「証拠がないと相談できないのでは」

証拠がそろっていなくても相談はできます。まず話すことから始めて構いません。

「大げさに思われないか」

判断するのは相談を受ける側です。受け止め方に個人差があるからこそ、窓口が設けられています

「契約期間の途中だから言い出せない」

期間の途中でも相談はできます。就業先の変更や、契約の扱いについては、派遣会社が調整する役割を担っています。

周囲の人ができること

もし同僚がつらそうにしていたら、次のことが助けになります。

  • 見聞きしたことを覚えておく
  • 本人に相談窓口があることを伝える
  • 本人の意向を確認せずに広めない

体調に影響が出ているとき

  • 早めに医療機関を受診してください
  • 業務が原因と考えられる場合、労災の対象になることがあります
  • 健康を取り戻すことが最優先です

最後に

派遣という立場は、雇用主と就業先が分かれているぶん、相談先が複数あるということでもあります。職場で言いにくいことを、外にいる担当者に伝えられる。これは弱みではなく、使える仕組みです。

ひとりで抱えないでください。記録を取り、まずは派遣会社の担当者か窓口に話す。そこで解決しなければ、外部の窓口があります。相談したことで不利益を受けることは、認められていませんよ。

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